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2010年 11月 18日
いい天気
久々によい天気。
やはり晴れはよい。
お天道様。


ー 番長は川崎に住んでるんですか?
松崎 そうですね。どっか出かけるときは駅まで自転車通勤で、ええ。
ー 自転車通勤ですか。
松崎 通勤とかは、とくにないですけど。
ー そりゃそうですな。
ー 俺、松崎さんはかなり前から見てるんですけど、いちばん最初はなんでしたっけ?
松崎 一般の人の前に出るようになったのはオリエンタル(剛竜馬主催)のときじゃないですか?パイオニア(剛竜馬主催/オリエンタルの前身)の頃にもいたんですけど、いちばん最初だけ出て、2回目もちょこっと出て・・・・・・。
ー 俺、パイオニアはほとんど見ましたからね。腕相撲大会が毎回あって。あれはキツかったんじゃないですか(笑)。最初はどういう経緯でパイオニアに入ったんですか?
松崎 入門ですね。メンバー見て、国際プロレスが子供の頃大好きだったもんで、ええ。
ー え?何年生まれですか?
松崎 昭和44年生まれなんですけどね、ええ。
ー 44年生まれで国際プロレスファンってのは、そうとう珍しいんじゃないですか?
松崎 要するに、自分が幼稚園か小学生の頃、親父がテレビつけててそれが国際だったんですね。それがすごく記憶に残ってて。
ー 当時の国際というと?
松崎 ラッシャー木村さんがエースですね。そしてマイティ井上さんがすごく好きだったんですね、ええ。
ーそうですか。その頃からプロレスラーになりたかったんですか?
松崎 べつに思ってなかったですね。だから学校でみんなが騒いでいる人間じゃなく、ほとんどの人が知らない人を好きだってことにちょっと優越感があったと、ええ。
ー 子供の頃からマニアですな。
松崎 いまでもそうなんですけどね、ええ。
ー ワハハハハ。で、国際プロレスで見てた剛さんのところに入門したと。駿馬って名前は剛さんが付けてくれたんですか?
松崎 いや、違うんですよ。自分で勝手に付けたんですよ。これは要するに剛さんが竜馬で坂本竜馬みたいな意味じゃないですか。で、坂本竜馬っていうと海援隊じゃないですか。海援隊のなかに白馬駿馬ってのがいるんですよ。で、その名前を取って。
ー 海援隊のファンなんですか?
松崎 歌手の海援隊じゃなくて、実際の海援隊なんですけどね、ええ。
ー 武田鉄矢の海援隊は?
松崎 嫌いじゃないですけどね、ええ。
ー なるほど。入門した頃、番長は何してたんですか?
松崎 ああ、アルバイトですねえ。それと空手ですか、アマチュアの。ちょうど俺もプラプラしてたんで、やってみようかなってググッときたんで、ええ。
ー レスリングはやってなかったんですか?
松崎 やってなかったですね、ええ。
ー それからずっと剛さんとこで。
松崎 俺、1回ケツ割ってんですよ。やめてるんですね、ええ。パイオニアのときに。で、1回空白があるんですよ。
ー それは事情があったんでしょうな。
松崎 居づらくなったっていうんですかね。
ー で、また戻ってきたわけですね。それはパイオニアのときでですか?
松崎 そうですね。オリエンタルが始まるちょっと前に。
ー パイオニアのときに1回やめて、パイオニアのときに戻ってきたんだ。忙しいですね。
松崎 まあ戻ってきたときには事実上消滅してましたけどね、ええ。
ー 国際プロレスが好きで剛さんのところに行ったのはわかりましたけど、金銭的な期待ってのはどうだったんですか。
松崎 そのときはホントにお金はいいからっていう気持ちがあったんですよ。いまでもけっこうそういう気持ちはありますねえ。
ー お金じゃないと。
松崎 要するにギャラが滞ったりすると、こっちも生活できないじゃないかと思う反面、なんていうんですか、最初に始めたきっかけがそういうことだったんじゃない、と。
ー なるほどね。自分が最初にこの世界に飛び込んだときの気持ちを思い出すわけですな。
松崎 そのときはたしかに金はいいからっていう気持ちがあったんですよ。
ー わかりますよ。俺なんかもノーギャラの仕事多いし(笑)。そういうときには思い出しますよね、高校生の頃の気持ちを。
松崎 そうなんですよ、ええ。
ー じゃあお金のことはまたのちほど訊くとして、いま現在の所属は?
松崎 現在はフリーなんですけど、今度、湘南プロレスっていうのが旗揚げしまして。
ー 高杉(正彦)さんのところですね。
松崎 ええ、それに自分もひと役買ってるもんですから。
ー 高杉さんと番長は手が合いますよねえ。
松崎 へへへへ。終結しない抗争が続くという、ええ。まあ、いつかは決着つけなくちゃいけないんですけど(笑)。
ー じゃあ、これからは湘南プロレスですか?
松崎 そうですね。基本的には契約的な内容はまだ話してないんですけど。
ー 完全なフリーっていう時期はどれぐらいあったんですか?
松崎 フリーはですね・・・・・・フリーっていうんですかね。いちおう、入ってたり入ってなかったりしてたんでね。ユニオン(インディペンデントの親睦団体/のちに鶴見五郎主宰のユニオンプロレスになる)ってのがあって、その後、東京プロレス(石川敬士主宰)に入りまして、そして今年の頭にやめたんですけど、ええ。だから厳密な意味でのフリーってのはないかもしれませんね、ええ。
ー ユニオンもやってるんだったら、けっこういろんなマットに上がってますね。PWCに出てたのもその時期ですね。
松崎 ひと月に後楽園ホール5回とかありましたね、ええ。NWOとかSPWFとか、あとはなんでしたっけ、思い出せない・・・・・・。W★INGとかもあったですかね。
ー 思い出せないほど出てたという。そういうののギャラっていうのはどうなんですか。そのときそのとき?
松崎 そのときそのときもあるし、振り込みのときもありますよね。
ー 1試合いくらっていう?
松崎 1試合いくらですね。
ー 休んだらもらえない。
松崎 いまでもそうなんですね、システム的には。だからそのへんで月頭には何試合入れて、いくら稼いでっていう計算で。
ー 1試合、1試合の人生ですな。
松崎 そうですね、ええ。
ー いままででいちばん高かった1試合ってのはいくらぐらいなんですか?
松崎 4万ぐらいですかね。
ー 4万!いちばん高くて?
松崎 俺、そんな高いのないですから。
ー そんなもんですか。
松崎 俺は安いのをいっぱいこなすほうですから。
ー で、安いのはタダですか?
松崎 出るはずだったものが出なかったってことはありますよ、ええ。
ー それは、わりとよくある話なんですか?
松崎 まあ最近はないですけどね。1時期よりしっかりしてきましたよね。
ー そりゃまたなんで?
松崎 結局、インディペンデントに出てたレスラーってのが、要するに3、4年前ってのは20歳前後だったですよね。あの頃はギャラをもらわなくても辛抱できたけど、いまは年数経って結婚とかしてる選手とか出てきて。するとホントにもらわなきゃいられないってことになっちゃうじゃないですか。だからプロモーター側も、あいつらは黙ってても大丈夫だっていう感覚がなくなってきたんじゃないですかね。
ー なるほど。で、そのギャラですけどね、試合する前に金額とか聞かないんですか?
松崎 聞かないですね。やっぱり、ええ。
ー 俺と一緒だなあ(笑)。
松崎 べつにまだ貯金する時期でもないんで、ええ。
ー 番長の場合、聞いたら男が下がるとか思ってんじゃないの?
松崎 うん、ありますねえ。気持ちで出たい、ってのありますからね。まあ、乗り出した船には乗ってみたい、と。
ー 乗り出した船には乗ってみたい!(笑)わかったようなわからないような(笑)。
松崎 まあ最初から団体にお金があるとも思ってないですからね、どこも独立団体ですから。
ー でもいちばん高くて4万ってことは平均するといくらぐらい?
松崎 平均すると2万5千から3万5千ぐらいですか。
ー 源泉徴収とかあるんですか?
松崎 ないんですね、ええ。
ー 領収書とか書くんですか?
松崎 実際、書かないですね(笑)
ー ホントにとっぱらいの世界ですな。
松崎 書く団体もありますけどね。
ー お金はむき出しだったりするんですか?
松崎 むき出しの場合もあるし、封筒に入ってて松崎様って書いてある場合もあるし。
ー どっちがいいですか?
松崎 封筒に入ってるほうがいいですね。なんかバラでもらうとその日のうちに飲みに行っちゃうような(笑)。封筒に入ってると、これ使っちゃいけない金だっていう、ええ。
ー なるほどね。番長だとバラでもらうとひと飲みですな。
松崎 そうですね。
ー その場合、生活費を飲んじゃうわけですよね。キツイでしょう。
松崎 キツイですね。
ー 月に何試合ぐらいあるもんですか?
松崎 だから要するに6試合を目標にしたいっていうわけですよ、ええ。そうするとたとえばサブロク18万は入るわけじゃないですか。
ー シロク24万にしたいですな。
松崎 そうですねえ。24万あればいいですね。
ー この際、この場で言っときましょう。いくら欲しいって。少し多めに。
松崎 やっぱり4万もらえたらいいですよね。
ー 4万ですか。イベントの仕事なんかはないんですか、サイン会とか。
松崎 ああ、テレビってのはありましたよね。
ー やっぱりテレビも3万か4万ですか。
松崎 いや、そんなもらえないですね。それこそ1万とか2万とか。
ー 番長の場合は1万から4万までの単発の仕事が月に何回入ってくるかってのが勝負なんですな。
松崎 そうですね。だから要するに単価はいいんですよ。数を1回でもいいから多く増やしたいなという感じですね、ええ。
ー その考えを変える気はないんですか?
松崎 そうですね。やっぱり安さで勝負ですから、ええ。
ー ワハハハハ。ケンカ番長がそんなこと言っていいんですかね。
松崎 いえいえ、ホント、気持ちでね、気持ちによっては5千円でもやぶさかではないという、ええ。
ー しかし、それじゃやっぱり生活は大変ですよね。いま、住んでるところは?
松崎 自宅なんですけどね、ええ。
ー じゃあ家賃がいらないんだ。それは大きいですねえ。
松崎 いや、1回出てたんですよ、外へ。でも今年から帰っちゃったもんで、ええ。
ー 家賃がキツクなったっていう。
松崎 ええ。でも食費とかは全部自分のアレでやってますから、ええ。
ー 食費を親に渡して?
松崎 いや、親とは食事、別ですから。
ー 別ですか(笑)。でも親と一緒に住んでるといろいろ言われるんじゃないですか?
松崎 言わないですねえ。うちは片親なんですよ。親父だけなんですけどね。べつになんの関心もないし、ええ。
ー 親父とふたりぐらしですか。まさにケンカ番長ですねえ。
松崎 ええ。親父は酒ばっかり飲んでる酒仙人のような親なんで、ええ。
ー 話は変わりますけど、誰が言い出したんですか、ケンカ番長ってのは。
松崎 誰なんですかね、ええ。
ー 昔から番長だったんですか?
松崎 いや、あれは単にお客さんが言ってるキャッチフレーズみたいなもんで、成績優秀の学級委員タイプだったですからね、ええ。
ー 学級委員タイプがとっぱらいみたいな商売に就きますか(笑)。
松崎 ええ。話はなんですけど、高校の頃なんか私立でひとクラス60人からの学級委員ですからね。
ー 人望が厚くて。
松崎 ええ。
ー 同級生に会ったりしないんですか?
松崎 会わないですねえ。
ー まさか1万とか2万とか、数で勝負、安さで勝負だなんて想像つかないでしょうな。
松崎 そうですね、ウハハハ。
ー いま現在、アルバイトってのはしたりしないんですか?
松崎 それはほとんどないですね、ええ。
ー じゃあもらったギャラだけで食うとなると、食うに困るなんてのもあるんじゃないですか。
松崎 けっこうヤバイな、ってことはありますけどね。そういうときはシーチキンでメシ食ったりとか。けっこうそういうのは平気なんですよ、ええ。米の量は多いんですけどね、ええ。だから米だけは充実してるんですよ。
ー ギャラもらったらまず米買って。
松崎 そうですね、まず米だけは充実させておかないと。
ー 青春って感じしますね。
松崎 清酒ですか?
ー 青春ですよ。じゃあ米だけ充実させておけばメシはいいとして、オシャレしたいとかはないんですか?
松崎 ないんですね。レスリングができて、酒が飲めればいいと。
ー じゃあ現状には満足してると。
松崎 うん、満足に近いですね。ただ、ゆくゆくの心配はありますよ。いま、ちょうど27歳なんですけど、やっぱり30越えてね、もしこの世界でやれなくなったらとか考えると、たまに夜も眠れない日がありますけどね、ええ。
ー 独身ですよね。
松崎 ええ。
ー じゃあ、嫁さんもらうのも大変ですな。
松崎 うん、そうですね。でもいまはまだ考えてないです、ええ。
ー 女のコとつき合ったりすることあるじゃないですか。そういう場合、たとえば飲み代とかはどうするんですか。
松崎 うん、出しますね、それはやっぱり。
ー 男らしいですねえ。家でシーチキン食ってても。
松崎 まあ、でも扶養ってことになるとできないし、てめえ自身のことしか考えてないし。
ー 親父の面倒をみる心配ってことは?
松崎 ありますね、それ、非常に。もう定年してるんで。酒好きな人間ですから。そういう心配はありますね。もうそのへんはかなり、せっぱ詰まってますね、ええ。
ー それ考えると夜も眠れなくなったりするということですか?
松崎 そうですね、ええ。
ー キビシイ話ですな・・・・・・これはなんとかしなきゃいけないんでしょうが、気分転換なんかはしないんですか。ギャンブルとか。
松崎 ギャンブルはやらないですね、ええ。
ー ビデオ借りてきたりとか。
松崎 うーん、たまにですね。
ー どんなビデオですか。
松崎 いや、普通の(笑)。マンガ。『空手バカ一代』とか。
ー ハハハハ。マンガとは言わんでしょう。アニメですか。
松崎 いや、アニメに限らず、ええ(笑)。あ、ヤクザものが好きなんですよ。
ー じゃあそういうの見て、発散して。でもそのビデオを借りるのが大変ってことはないんですか?
松崎 そこまではひどくないですね。まあキツイことはキツイけど、要するに、自分に余裕はもっていたいですね。プライドっていうんですかね。お金はなくてもプライドはもってたいですね、ええ。だから金なくてもビデオ見たいなと思うときは、それぐらい出せなくてどうするんだ、と気持ちのなかで。でも、今日は金がないからやめとこうかなっていう、そういうみみっちいものだけはもちたくないと。そのかわり、明日の金は考えなくていいから、今日見たいと思ったものは見ておくと。それぐらい出せなくてどうすると、と。
ー ビデオといえども大問題ですな。じゃあ貯金なんかは?
松崎 ありますよ。ありますけど、貯金と言える額じゃないと思いますよ。
ー でも貯金もあって、嫁さんもいて、ちゃんと月給があると。そういう人生も世の中にはあるわけだけど、そういう人生もいいなあなんて思ってことは、いままでにいちどもなかったですか?
松崎 ああ、ありますよね。あるけど、憧れたらキrがないじゃないですか。だから要するに、これが俺の天命だから、天命に逆らわずに。
ー じゃあ番長の天命ってのは。
松崎 小さな会社でもいいから入ってずーっとやってくのが俺のアレかなと思ったこともあるけど、いま考えてみるとプラプラプラプラしてますからね。ということはやっぱりプラプラするのが俺の天命なのかな、と。
ー メジャー展開というのはその天命にはないんですか、今後のプランのなかに。
松崎 うーん、入りたての頃にはありましたけどね。いまはもうないですね。俺自身、そんなに器用じゃないし、だから俺ぐらいの才能の人ってのはいっぱいいるわけじゃないですか。だから、俺はこうやって流れを見てきても、そんなに器用なほうじゃないから。それだったらメジャーな人と闘いたい、メジャーになりたいというよりも、インディペンデントの伝説になりたいと。ここまで来たら・・・・・・割り切りじゃないですけど、逆にそういう目的をもちたいです。要するに、インディペンデントで伝説っていうかクチコミで伝わっていく伝説ですかあ。でからマスコミには出なけりゃ出ないでいいと。こういう人間がいるんだよとクチコミで伝わればそれでいいと。
ー さすが番長!男の美学ですね。
ー じゃあ最後に読者サービスということで番長の1日のスケジュールを教えてもらいましょうか。
松崎 えーっとですね、朝はだいたい8時に起きますね。そして10時から練習ですね。リングのある場所に行くこともあるし、知り合いのジムに行くこともあるし。
ー 朝メシは?
松崎 食わないですね。で、2時ぐらいにメシ食って。
ー 何、食うんですか?
松崎 そうですね、普通のごはんですね。
ー 家に帰って食うんですか?
松崎 家に帰って食うこともあるけど、外食のほうが多いですね。
ー じゃあ普通のメシ屋?
松崎 ラーメンライスみたいなやつですか。
ー ラーメンライスって、ぜんぜん普通じゃないよ(笑)。
松崎 そして夕方は持久運動ですか。ランニング類を中心とした。
ー それは家の近所とかですか。
松崎 そうですね、川崎で。
ー そのあとは?
松崎 酒飲みに行ってますね(笑)。
ー で、金がなくなると。
松崎 家で米とシーチキンですね、ええ。
ー シーチキン、飽きないですか?
松崎 あれだけは飽きないですね(笑)。冷えた缶詰を食う自分を感じて、もうひとチャレンジしたいという、いつかは温かいものを食ってやるという。
ー 俺、泣けてきた・・・・・・。
松崎 べつに冷たいものが嫌いじゃないんですけどね、ええ。
インタビューはインディー系フリーのプロレスラー『ケンカ番長」松崎駿馬,インタビューアーは杉作J太郎。



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by midoriartcenter | 2010-11-18 14:19 | Tomomitsu TADA


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