人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2010年 12月 15日
お勉強&ドローイング。


歴史とは、人類の巨大な恨みに似ている。歴史を貫く筋金は、僕らの愛惜の念というものであって、決して因果の鎖というようなものではないと思います。それは、例えば、子供に死なれた母親は、子供の死という歴史事実に対して、どういう風な態度をとるか、を考えてみれば、明らかな事でしょう。(中略)母親にとって、歴史事実とは、子供の死ではなく、むしろ死んだ子供を意味すると言えましょう。死んだ子供については、母親は肝に銘じて知るところがある筈ですが、子供の死という実証的な事実を、肝に銘じて知るわけにはいかないからです。そういう考えをさらに一歩進めて言うなら、母親の愛情が、何も彼もの元なのだ。死んだ子供を、今もなお愛しているからこそ、子供が死んだという事実があるのだ、と言えましょう。愛しているからこそ、死んだという事実が、のっぴきならぬ確実なものとなるのであって、死んだ原因を、詳しく数え上げたところで、動かし難い子供の面影が、心中に蘇るわけではない。
小林秀雄『歴史と文学』(昭和16年)



梨_a0142511_04198.jpg



梨_a0142511_042219.jpg



梨_a0142511_0433834.jpg



梨_a0142511_0445293.jpg



梨_a0142511_0472743.jpg



梨_a0142511_0484798.jpg



梨_a0142511_0491886.jpg


by midoriartcenter | 2010-12-15 00:51


<< 雪      ドローイング >>